御宝物・資料
「桜山招魂場碑」

奇兵隊、報国隊殉国の士の功績を不朽にするため、有栖川宮熾仁{ありすがわのみやたるひと}親王篆額{てんがく}、山県有朋撰文の記念碑が、明治二十六年(一八九三)二月建立された。碑文には明治五年(一八七二)六月十二日明治天皇西国巡幸の際、侍従{じじゅう}を派遣され祭祀者を弔慰された光栄と感激をのべ、奇兵隊の事暦が記されている。

「明治天皇勅宣碑」

明治五年六月十二日侍従高島鞆之進{とものしん}に託された明治天皇の勅宣を碑に刻み、昭和四十三年(一九六八)四月十六日、明治維新百年を記念して、社殿左正面に建てられた。

「七卿史跡碑」

文久三年(一八六三)八月十八日の政変で世にいう七卿落{しちきょうおち}となり、長州へくだった三条実美{さねとみ}、三条西季知{すえとも}、東久世通禧{ひがしくぜみちとみ}、壬生基修{みぶもとなが}、錦小路頼徳{にしきのこうじよりのり}、四条隆謌{たかうた}、沢宣嘉{さわのぶよし}のうち、錦小路、沢両卿をのぞく五卿が、元治{げんじ}元年(一八六四)三月二十九日下関防衛視察の折、招魂場に立ち寄られた。この事蹟を顕彰するため、昭和五十六年(一九八一)五月、社殿登り口石段右手、保存樹シイノキの下に史跡碑が建立された。

「御宝物」
名称 員数 品質・形状・寸法 筆者・傅来
韮山笠
小石
古染付菓子器
小硯
尺八
團扇
和歌折本
諸家短冊
筆蹟混帖
 
書幅
書幅
書幅
書幅
書幅
書額
留魂録
大幟
三十三枚
 
羅紗、円形、直径一尺七寸
 
南京焼、赤絵、蓋模様
縦二寸二分、横一寸六分
長さ一尺五寸
紙、真八竹
縦八寸、横四寸、三折
内三枚印刷物
長さ一丈二尺
 
長さ五尺九寸、横一尺五寸
長さ三尺六寸、横一尺二寸
長さ五尺三寸、横二尺二寸
長さ六尺七寸、横二尺二寸
長さ四尺五寸、横二尺三寸
縦六尺六寸、横一尺八寸
 
長さ一丈七尺六寸、巾一尺九寸
高杉東行使用の物
高杉東行愛用の物
高杉東行使用の物
高杉東行使用の物
平野国臣使用の物
真木和泉使用の物
平野国臣獄中作、紙擢文字
 
巻頭東行狂生書
諸名家の作を集めたもの
大橋順蔵書
木戸孝充書
伊藤博文書
山県有朋書
乃木希典、東郷平八郎書
伊藤博文書
吉田松陰作
山県有朋の書
 
■高杉晋作愛玩石
  高杉晋作が愛玩したもので、石質は通称「長州石」と呼ばれるもの。紫檀の台座底部には、「元治甲子六月求之 東行生」の墨書がある。元治元年(一八六四)三月、脱藩の罪で野山獄に投ぜられた晋作は、父小忠太の尽力により、六月二一日出獄、座敷牢に謹慎する。晋作はこの石を修養石として独り静に日々を送ったと推測する。
■南京染付絵皿

  文久二年(一八六二)、藩命により上海へ渡航した晋作が、慌ただしく情報収集に奔走する中で手に入れたものと推測される晋作愛用の絵皿。
■高杉晋作所用の小硯
  晋作愛用の小硯で、海には蟹が彫られ、審美眼の持ち主であったといわれる晋作の美的感覚を物語る。
■平野國臣遺愛の尺八
  籠笛・篳篥・尺八・琴など音曲に通じた平野國臣が愛用した尺八。資料上部には龍の絵が施されている。
■高杉晋作詩書

 慶應元年八月六日、戦死した同志たちを「神霊」にして祠る招魂場が完成した。その際に晋作が詠んだもので、弔われる身であったはずの自分が、逆に生きながらえて弔っていることを恥じている。

○・・・原文  ◇・・・訳  ◆・・・読み

○ 猛 烈 奇 兵 何 所 志
◇ 猛烈の奇兵何の志す所ぞ
◆ もうれつのきへいなんのこころざすところぞ

○ 要 将 一 死 報 邦 家
◇ 一死を将って邦家に報いんと要す
◆ いっしをもってほうかにむくいんとようす

○ 尤 欣 名 遂 功 成 後
◇ 尤も欣ぶ名を遂げ功成りて後
◆ もっともよろこぶなをとげこうなりてのち

○ 共 作 弔 魂 場 上 花
◇ 共に弔魂場上の花と作らんを
◆ ともにちょうこんじょうじょうのはなとならん

○ 弔む羅和留人尓入るべき身なり志尓
◇ 弔らわる人に入るべき身なりしに
◆ とむらわるひとにはいるべきみなりしに

○ 弔む羅宇人となるそは津か志
◇ 弔う人となるぞははずかし
◆ とむらうひととなるぞはずかし

○ 謹弔 謹弔
◇ 霊魂 霊魂

○ 故奇兵隊士東行狂生
◇ 故奇兵隊士東行狂生
◆ こきへいたいしとうぎょうきょうせい

○ 慶應元年八月 日 招魂場祭事
◇ 慶應元年(一八六五)八月 日招魂場祭事
◆ けいおう

■乃木希典・東郷平八郎手蹟合装

  明治四四年四月一五日、参拝のため桜山神社を訪れた旧長府藩士で陸軍大将となった乃木希典と、旧薩摩藩士で海軍大将となった東郷平八郎が揮毫した書を合装したもの。